「ノーリフト(ポリシー)」とは

 「ノーリフト(ポリシー)」とは、1996年頃からオーストラリアの看護連盟が看護師の腰痛予防のために提言したものです。
持ち上げたり運んだりといった介護者に負担の大きい作業を人の力だけで行うことを禁止し、患者の自立度を考慮した介護機器使用による移乗介護を義務付けています。
この考え方を導入した北欧やオーストラリアにおいては、介護現場のスタッフが様々な介護機器を積極的に活用することで、腰痛問題が解消しつつあると言われています。

ノーリフトが取り組まれた背景には、

  1. 健康産業全体の54%以上という看護師の腰痛保持率の高さ
  2. 腰痛に伴う人的コストの増大(早期退職率の高さ、専門性の喪失、業界全体の人事不足)
  3. 腰痛に伴う経済的コストの増大
    (労働災害給付金、医療費、休業中の給与負担、人材補充費、サービス・モラル低下、再研修費)

などの要因があり、一つの病院や施設の問題ではなく、州全体の課題として取り組まれました。

ノーリフトの方法

患者の本来あるべき生活援助方法を検討し、提案・実践・再検討する。

  1. 患者の身体状況・精神状況に合わせた介助方法を提案・実践
  2. 患者の自立支援を考える
  3. 患者の身体の使い方により自立支援を促し、過度な負担を軽減
  4. 福祉用具の活用により、自立支援を促し、過度な負担を軽減

患者サービス向上

患者さんの過度な負担をなくす。自立支援を促す。

○ 身体への[適度]な負担は、リハビリ効果が期待できます。
  体力・生活行為能力・精神などの向上・維持・緩やかな低下

× 身体への[過度]な負担は、身体と精神を痛めます。
  痛み・ケガ・精神(生活意欲)低下など

職員の労働環境改善

  1. 年齢・性別に関係なく働ける労働環境
  2. 身体を痛める過度な負担を伴う業務の改善
  3. 心の健康も大切
  4. 介護のプロとしての社会的認知度・地位のアップ

参考

一般社団法人 日本ノーリフト協会
http://www.nolift.jp